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ペットボトルの中身、どうやって調べる?

(リバネスサイエンスライター:周藤瞳美)

モンシロチョウ

   写真=ボトル内液体物検査装置SLC-211D
   <置くだけでペットボトルやアルミボトル内の可燃性液体を簡単にチェックできる。>
   (写真提供:東京ガス株式会社)

ゴールデンウイークが待ちきれなかった私は先日、一足お先に北海道へ旅行に行ってきました。飛行機に乗って、北の大地へいざ出発!と思いきや、早速、空港の手荷物検査場で足止めを喰らってしまいました。ペットボトル飲料を持っていたからなんです。

最近、多くの国内線の手荷物検査場では、ペットボトルやアルミ缶等の容器に入った飲料を持っていると、機械を使って、容器の中身が飲料なのか、テロなどに使われるガソリン等の危険物なのかを調べる検査が行われるようになっています。しかし、どうして容器を開けないで中身の液体を区別することができるのでしょう。機械の中では一体何が起こっているのでしょうか?

■容器の中身を調べるには・・・

ガソリンと水を区別するには、匂いを嗅ぐ、またはその場で飲んでもらう、なんて方法もあるかもしれません。でもいちいちそんなことをしていては、時間が掛かってしまいますね。そこで、一瞬にして中身を見分けることの出来る機械が活躍するのです。

実は、この検査には「物」の電気や熱の通しやすさ、という物理的な性質が用いられています。そして、ペットボトル容器と、缶容器とでは少し方法が異なっているんです。
まずは、ペットボトル飲料の検査の詳しいしくみからみていきましょう。

■人間がコンデンサに!?

ペットボトルの検査は、手で容器を機械に押し付けるようにして行います。そこで、機械から人へ電流が流れるようになっています。このとき、機械と人は、電気を通しにくいペットボトルをはさんだ一種のコンデンサとなります。

私たちの世界には、「導体」と呼ばれる電気を通しやすい物質と、「絶縁体」または「誘電体」と呼ばれる電気を通しにくい物質が存在します。コンデンサとは、誘電体を2枚の導体でサンドイッチのように挟むことで、電気を蓄えたり、蓄えた電気を放出したりするもののことを言います。簡単に言えば、電気の溜め池のようなものです。

ここでは、導体、サンドイッチでいうパンが人と機械です。人間は電気を通します。雷が落ちるのは人間が導体だからなんです。また、誘電体、サンドイッチでいうと具にあたるものが、ペットボトルなのです。このとき、中に何が入っているかによって、ペットボトルの誘電体としての性質である電気の蓄えられやすさは大きく異なってきます。この電気の蓄えられやすさのことを「誘電率」といいますが、ペットボトルの中身が水だった場合、ガソリン等の可燃性液体の場合と比べて誘電率が非常に高いのです。

つまり、電気を流したときに電気が多く蓄えられれば水、少なければガソリン等の可燃性液体ということになります。空港で使われていた手荷物検査の機械では、この誘電率の違いを読み取り、水か可燃性液体かを見分けているのです。この検査、機械とペットボトルだけでは上手くいきません。人の電気を通しやすいという性質を利用しているなんて、ちょっと意外ですよね。

■アルミや鉄製の缶だとどうなる?

以上のようにペットボトルの検査は、電気を通しにくい性質を利用しています。でもアルミ缶やスチール缶といった金属の容器は電気を通してしまう導体なので、電気を蓄えるコンデンサにはなりません。では、この場合はどうやって調べているのでしょう。

答えは液体の熱の伝わりやすさ、「熱伝導率」の違いを利用しています。一つの物質内に温度差がある場合、温度が高い部分から低い部分へ熱が移動していくことはイメージできますよね。熱が伝わりやすいということは、こうした熱の移動が起こりやすいということなんです。

具体的に、アルミ缶の検査では、容器の外側から瞬間的に熱を与え、その冷え具合を調べます。熱伝導率は一般に、可燃性液体に比べて、水のほうが高いです。つまり、容器に与えられた熱はすぐに温度の低い水に伝わっていき、容器表面は速やかに冷却されるのです。これが可燃性液体だと、同じ時間だけ熱を与えた場合、温度が伝わっていきにくいので、中身が水のときに比べて容器表面の温度が下がりにくい、というわけなんです。缶の場合は、こうして熱を利用して中身を区別しているんですね。

普段、何気なく通り過ぎてしまう、というよりは、できれば何事もなく通り過ぎたい手荷物検査場ですが、実はこんなところにもサイエンスが隠れているんです。でも、電気の蓄えやすさや熱の伝わりやすさを利用しているなんて意外に単純ですよね。

このゴールデンウイーク、飛行機に乗って旅行に行かれる方は、この機械をみかけたら、ぜひ今日の話を思い出してみてくださいね。また、旅の途中に隠れているサイエンスを探す、なんていうのもおもしろいかもしれません。

参考文献
○特許公開2007-003548容器内の液体種別を判別する装置およびその制御方法
○特許公開2005-274255容器内の液体種別を判別する装置およびその制御方法

さらに詳しく知りたい方はこちらをどうぞ
さらに詳しい解説は本やウェブ上においてたくさん公開されているので、興味のある方は調べてみてください。とてもおもしろいと思いますよ。
東京ガス


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