こどもふれあい広場 / 西日本新聞
病気どうする?
新型インフルエンザの対策
ブタ由来の新型インフルエンザA型(H1N1)が日本に今年の5月中頃上陸してから、フェーズ6のパンデミック(大流行)に至るまではあっという間の出来事でした。さらに、秋以降の感染拡大が懸念されています。
情勢も時々刻々と変化していますので、インターネット・新聞・テレビ・ラジオなどから正確な情報収集をして冷静な行動を取るのが肝要です。
以下現在までに判明している事柄をQ&A方式で述べてみました。
Q:新型インフルエンザとは何ですか?
A:毎年冬場に流行する季節性インフルエンザ即ちAソ連型(H1N1)・A香港型(H3N2)・B型とは抗原性が異なっていて、ほとんどの人に感染の経験や免疫が全く無いので、全国民に大流行する恐れのある文字どおり新しい型のインフルエンザのことを言います。
現在大流行しているのは、本年3月頃にメキシコや米国で確認されたブタ由来の新型インフルエンザA型(H1N1)です。
ブタの間で蔓延していたインフルエンザウイルスが遺伝子変異で人から人への感染力を獲得したと考えられています。
従来心配されていた、高病原性鳥インフルエンザA型(H5N1)は今でもアジアを中心として鶏から人への感染例がありますが、わが国では現時点では人への感染例はありません。
Q:新型インフルエンザの症状は?
A:症状は季節性インフルエンザと類似していてほとんど見分けがつかないと言われています。
症状:突然の発熱、鼻水、鼻閉、のどの痛み、咳・くしゃみなどの上気道炎症状、頭痛、体がだるい、関節痛、筋肉痛など。新型インフルエンザでは下痢、嘔吐、腹痛、結膜炎が認められる例もあります。
Q:新型インフルエンザと季節性インフルエンザとの相違は?
A:症状からは区別がつきません。(確定診断は遺伝子検査による)
潜伏期間:季節性は2から5日、新型は1から7日(中央値3から4日)。
致死率:季節性は0・1%以下、新型は0・4%前後。
どちらも治療薬のタミフルやリレンザが有効です(発症48時間以内に投与開始)。解熱剤はどちらもアセトアミノフェンが望ましい。
感染力は新型が強いですが、両者ともほとんどの人は軽症のまま回復します。
インフルエンザ脳症の合併は季節性では5歳以下の発症が多いが、新型は年長児でも発症したとの報告があります。
以下に述べる人は重症化する恐れがあります。
新型、季節性ともに、糖尿病、慢性腎臓病、透析者、ぜんそく、慢性呼吸器疾患、慢性心疾患、免疫状態が悪い人などの基礎疾患(持病)がある者、水分摂取不良の場合や小児、高齢者、妊婦など。
Q:新型インフルエンザはどのようにして感染するのですか?
A:季節性インフルエンザと同様で、咳やくしゃみをして放出されたウイルスを含むしぶき(約1から2メートル飛び散る)を吸い込むことによっておこる飛沫感染と、ウイルスが付着したものを触った手を介して目、鼻、口の結膜や粘膜から感染する接触感染とがあります。
新型インフルエンザ患者から他の人への感染可能期間は発症前1日から発症後5から7日程度と考えられています。
Q:新型インフルエンザの予防法は?
A:感染症拡大防止の基本ですが、外出後の手洗いとうがいを日常的に行います。
手洗いは石けんで15秒以上行い、さらにアルコールを含んだ消毒薬を使うと効果的です。手洗いは手に着いたウイルスが粘膜から感染するのを予防します。
飛沫感染を防ぐために咳エチケット(表)を徹底しましょう。
○咳やくしゃみをするときは、マスクが無ければティッシュなどで口と鼻をおおい、他の人に飛沫が飛ばないように顔をそむけて1から2メートル以上離れましょう。
○使用後のティッシュはすぐにごみ箱に捨てましょう。
○ティッシュが無ければ咳やくしゃみをするときに、手、腕などで口や鼻をおおい、汚染した手は直ちに手洗いをして、感染を防ぎましょう。
○出来るだけ、マスク(不織布製)は携帯して、人ごみでは着用しましょう。
流行が収まるまでは必要以外の外出はひかえて、人ごみではマスクを着用します。
日頃、充分に睡眠をとり、バランスの良い栄養摂取をして体力や抵抗力を高め、体調管理をします。
季節性インフルエンザ用のワクチンは新型インフルエンザには無効ですが、今の時期だからこそ接種するのが賢明です。
新型インフルエンザ用のワクチンは、当初量が充分でないので優先接種対象者から接種開始される予定ですが徐々に一般にも行き渡ると思います。
新型インフルエンザ用ワクチンの予防効果に一定の期待がかかります。
Q:新型インフルエンザの感染が疑われたときの対応は?
A:突然の高熱や咳のどの痛み、周りに新型インフルエンザの患者が存在したなど疑わしいと思ったら、早めにかかりつけ医や近くの医療機関などに事前に電話で連絡してから診察を受けます。
Q:新型インフルエンザが重症化する場合は?
A:新型インフルエンザウイルスが原因の肺炎、肺炎球菌やインフルエンザ菌などの細菌感染が合併した肺炎。心筋炎。小児ではインフルエンザ脳症の合併。
いずれの合併症も病状が急激に悪化して生命に危険を及ぼす場合があるので緊急に医療機関を受診しなければなりません。
大人では呼吸困難、息切れ、胸の痛み、嘔吐・下痢、熱が3日以上続く、病状が長引いて改善しない。子どもでは、高熱が続く、顔色が悪い、意識がおかしい、けいれんがある、嘔吐・下痢があり水分が摂れない、病状が長引くなど。
以上、多少難しい内容があったとは思いますが、かりに罹ったとしても抗ウイルス薬や各種の抗菌薬が使用可能です。また、二十世紀に発現して流行した1918年のスペインかぜA型(H1N1)、1957年のアジアかぜA型(H2N2)、1968年の香港かぜA型(H3N2)、1977年のソ連かぜA型(H1N1)、いずれもインフルエンザですが人類は四度も克服してきた実績があります。今回のブタ由来の新型インフルエンザA型(H1N1)も慎重に対応すれば、きっと乗り越えられるものと確信いたします。
(福岡医師会理事 日本小児科学会認定専門医 細山田 隆)
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