西日本新聞


腹痛(おなかが痛い)の対策

2007年 05月 10日 | 病気どうする?

  4歳から5歳までの幼児はからだのある部分が痛いとき、‘ポンポン痛い’と言います。本当におなかが痛い場合が多いですが、頭、耳、のど、胸などが痛くても同様の表現をすることがあります。まして乳児では全身の姿勢や泣いて表すしかありません。また腹部は身体の大きな部分を占めていて、多くの内臓が存在しています。診察者はいろんな病態を念頭に置いて診断に当たる症状の一つです。

 Q 腹部にはどういう内臓がありますか?
 A 肝臓、胆管、胆のう、膵臓、胃、十二指腸、小腸(空腸・回腸)、虫垂、大腸、左右の腎臓、尿管、膀胱、子宮・卵巣(女性)などがあります。

 Q 子どもの腹痛はどういう病気がありますか?
 A 表に示しました。(比較的多いものや要注意のものは大きな文字で表記。)

  ■クリックすると表が出てきます

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 Q 急を要し、早く医療機関を受診しなければならない状態はどのようなときですか?
 A 痛みの感じ方には個人差があり、我慢強い子どももいれば神経質で少々大げさに訴える子どももいます。

 乳児:○下肢をおなかに向けて‘くの字’に引き付けて泣く。○おなかを触ると、かえって泣く。○いつもの元気がない。○いつもの食欲がない。○おなかがはっている。○嘔吐がある。○血便がある。

 幼児:‘ポンポン痛い’と言えますが痛みの部位や程度を明確に表現出来ません。また、腹部以外の頭、耳、のどが痛いときも同じ言い方をすることがあります。
○ 身体をかがめて痛がり、歩こうとしない。○顔色が悪く、ぐったりしている。○便に血が混じっている。○激しく痛がり、泣き止まない。○周期的に痛がる。○発熱、嘔吐、下痢を伴っている。○水分を取ろうとしない。○股の付け根が腫れて痛がる。○おなかを強く打ったことがある。

 Q 腹痛のときはどうゆう診察や検査を行うのですか?
 A ほとんどは問診・視診・聴診・触診で診断がつきますが、必要に応じて次の項目から選んで検査します。
 血液検査、生化学検査、血沈やCRPなどの炎症反応、検尿、便潜血、直腸指診、腹部エコー、X線検査、CT・MRI検査、消化管透視、内視鏡検査、腎盂造影など。

 Q 子どもが腹痛を訴えるとき、家ではどうゆう対応をすれば良いのですか?
 A 前述した緊急を要する症状があれば、出来るだけ早く医療機関を受診するのが賢明です。
 痛みがあまり強くないときは、トイレに行かせて排便させてみて、便の状態を観察します。異常がなく、痛みが軽くなっておもちゃで遊んだり、笑顔が出て食事をほしがるようになったらひと安心です。

 Q 8歳の男子です。登校前に‘おなかが痛い’と訴えることが多くなりました。時には学校に行けないことが月に数回あります。しかし、ふだんは元気です。どうゆう病気が考えられますか?
 A 専門的になりますが、病気を考えるとき、器質的疾患(解剖学的、形態学的に病因が存在する。)と機能的疾患(形態学的異常が把握出来なかった場合。)に区別されます。

 各種の検査をして器質的な病気が除外されたときに機能的消化器病を疑って経過を観察します。臍疝痛・反復性腹痛・起立性調節障害・過敏性腸症候群がその部類に属します。
 お子さんは、一度は精密検査を受ける必要がありますが、器質的疾患が否定されましたら、反復性腹痛や起立性調節障害が考えられます。

 次に、その特徴を挙げます。
 発作的腹痛が臍の周囲に限局して出現することが多く、同じ場所に同じ程度の痛みが週に1回以上反復し、2ヵ月から3ヵ月以上持続します。

 学童期の子どもで10%から15%位に認められ、4月から6月の木の芽が吹く頃に多くなります。朝起きが悪く、午前中に症状が現れ、学校に行きたくても行けないので学校嫌いと思われがちです。
 家族内に同じ体質の人がいることもあります。

 原因は消化器や血管を支配している意志とは無関係に作用している自律神経の調和が不安定な状態では、環境の変化、ストレスなどが腹痛の誘因になると考えられています。
 対策は本人が器質的病気による腹痛と思い込んでいますので、精密検査を受けさせて、特に問題のある結果がなければ、夜更かしをしないようにし、毎朝必ずトイレに行かせて登校させます。規則的生活を心掛けさせましょう。

 多くの病名があり、難解だったかも知れませんが、まれに腹痛の中には重篤な事態が潜んでいますので、気が抜けませんが、大人と違い子どもでは‘がん’などの悪性腫瘍はめったにありません。
 急性胃腸炎、食べ過ぎによる消化不良、便秘、自律神経失調による機能性消化器病が腹痛の原因として多く見られます。

 主として外科的治療が必要な急性虫垂炎(通称‘もうちょう’)は高齢者や小児中でも乳幼児では診断が難しく痛みの部位がはっきりせず、虫垂の壁が薄いので高率に穿孔(穴があく。)して腹膜炎を起こすので要注意です。
(福岡県医師会理事、日本小児科学会認定専門医 細山田 隆)

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