西日本新聞


熱中症と対策

2006年 08月 08日 | 病気どうする?

 梅雨が明けると、急に暑さが増すので、真夏は熱中症が問題となる季節です。

 今回は、熱中症に関する質問を取り上げました。

 Q 熱中症とはどのような病気ですか?
 A 暑さが体に障害をおよぼして、調子が悪くなり、いろんな症状をあらわす病態の総称です。

 Q 熱中症にはどのような種類があるのですか?
 A はじめに、多少理解し難いと思いますが次の分類を示します。

 熱けいれん(水分のみを飲用すると、塩分が不足するため、一つの症状として‘こむら返り’を起こす病態です。)、熱失神(全身の皮膚にある血管が拡張して血圧が下がり、脳への血流が減少して、目まいや立ちくらみを起こす病態です。)、熱疲労(急に汗を多量にかいて、水分と電解質の不足が同時に起きて、脱水状態となり、疲労感が強く、頭痛、吐き気、嘔吐などの症状がある病態です。この時点ではまだ発汗があります。)、熱射病(視床下部にある体温を調節する中枢が障害され、体の温度調節機能が失われ、放置していると、意識障害、おかしな言動や行動が起こるようになり自分では異常を判断出来なくなる最も重い病態です。体温は40℃を超え脈拍が増加し、発汗がなくなり、皮膚は乾燥します。ついには中枢神経障害を含む、多くの臓器に機能障害が起こり、生命が危険にさらされます。)、日射病(特に日光の直射が熱中症の原因となるものを言います。)。

 いままで述べた分類は難解な用語でしたが、各々は、はっきりと区別されるわけでなく、互いにオーバーラップすることがあり、急に進行して病状が悪化する危険性があることを認識しなければなりません。

 次に、重症度による分類があり、Ⅰ度、Ⅱ度、Ⅲ度と区別されます。

  Ⅰ度:熱けいれんや熱失神の段階を言い、大量の発汗があります。

  Ⅱ度:頭痛、気分不良、嘔吐、倦怠感、疲労感がある熱疲労の病態を言います。

  Ⅲ度:意識障害があり、呼びかけへの反応がにぶくなり、発汗が無く体に触ると暑い熱射病の病態を言います。

 Q なぜ人の体は体温調節が必要なのですか?
 A 人の体では生命を維持するために、代謝機構や多数の酵素が働いています。それらは高温になると活動しなくなり多臓器不全となりますので、一定の体温に保つ必要があります。

 体温は自律神経が皮膚の血管を収縮や拡張させて放熱し、発汗による気化熱でも調節されています。

 Q 熱中症が起こりやすい条件にはどのようなものがありますか?
 A 環境要因は気温が30℃以上、急な気温上昇、高湿度(発汗による冷却機能が低下)、風が弱い、日差しが強い、照り返しが強いなどがあります。体の要因としては体調が悪い、長時間の激しい運動(筋肉の熱産生が増加)があります。

 《熱中症を疑ったときの処置の仕方》

 まず休ませて、衣服をゆるめ、安静にして風通しの良い日陰に移し、エアコンのある部屋があれば、そちらへ移動させます。

1) 体温計があれば体温を測定します。熱が高ければ要注意で、頭や太い血管のある場所(両側の頚部、わきの下、太もものつけ根)を氷のうなどで冷やしてやります。

2) 意識があれば、イオン飲料やスポーツドリンクなどで水分と塩分を補います。

それでも回復しなければ医療機関に急いで搬送します。

 Q 医療機関ではどのような治療をするのですか?
 A 積極的に全身を冷却し、輸液療法を行い、重症者では集中治療が必要となります。

《熱中症にならないための注意事項》

 特に暑いとき、寝不足やかぜ気味で体調が悪いとき、食欲が無いときは外出や長時間の運動をひかえます。

1) 外出するときは、風通しの良い服装をして通気性の良い帽子をかぶり、暑さを避けます。

2) のどがかわいていなくても、冷たいスポーツドリンクなどを汗で失った水分や電解質を補うつもりで、一気に飲まないでこまめに摂取します。

3) 運動や仕事はがまんして無理に続けないで、休憩を取りながら行い、気分が悪ければ熱中症ではないかと早めに気づくことが重要です。

4) とりわけ、乳幼児は注意が必要です。(次の質問で答えます。)

  《乳幼児の熱中症に対する注意点》

  乳幼児は体温の調節機能が未熟で汗腺も未発達ですから、暑い環境では比較的短時間でも、熱中症になります。

 毎年この時期に報道される、「車中に子どもを置き去りにして命を落とした。」と言う悲惨な事故は起こしてはなりません。

 赤ちゃんは、頭や胴体にぐっしょり汗をかきますので、一日に何回も肌着を着替えてやり、出来るだけ涼しい場所で過ごさせます。また、言葉での表現が不可能ですから保護者が早めに異常を察知して、前述した処置を行います。

 (福岡県医師会理事、日本小児科学会専門医 細山田 隆)

緊急の場合は福岡県医師会の24時間相談電話 #8000番、日本小児科学会の救急ホームページをご覧ください。予防接種についてのお知らせもあります。

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